2012年4月13日金曜日

グループ展「night fell」 参加作家紹介

春ですね。
桜が舞う季節になりました。
いかがおすごしでしょうか?

道端には、桜以外にもいろいろな花が咲いていますね。
花開く季節です。
私はこの季節のそわそわとした華やかさが好きです。
私たちがグループ名に使っている「FLOR(フロール)」という単語には、「花」という意味があります。
作家のみなさんが花開く一瞬一瞬に、一緒に立ち会ってゆきたいという願いが込められているのです。

さてさて、私たちがディレクションしているグループ展「night fell」の会期が近づいてまいりました。
下北沢散策もかねながら、是非足をお運びください!




まずはグループ展「night fell」の詳細です。

-----

グループ展「night fell」 (produced by FLOR)
場所;下北沢ギャラリー Shimokita Art Space Cスペース(
http://www.shimokita-art.com/)
会期;4月17日(火)-4月22日(日)
OPEN;12:00-20:00
参加作家;渥見芽以、泉順太郎、小松杏里、野尻芽久美、濱口拡美 and FLOR

-----

今回のブログでは、参加している作家さんを簡単にですが、紹介したいと思います。

 

<渥見芽以>

多摩美術大学に通う学生さんです。


アパートメント


アパートメント

私が、彼女の作品を見たとき、絵の中に、すっと吸い込まれるような感覚になりました。
柔らかな溶け込みそうなニュアンスの風景画。
彼女の作品は、ある風景の中に、自分の記憶やそれに伴う思考を落とし込むような描き方をしています。
どこか既知感を覚えるのは、彼女が描いていく際に、
キャンバス上に自分自身の記憶を重ねこんでいるからなのかもしれません。

渥見さんとお話ししていた中で、印象的だったのが、
「キャンバスの前で考えている時間が長い」ということです。
渥見さんがキャンバスの前で導き出す「夜」についての記憶・思考。
それがいったいどんな形で、立ち現われてくるのか、とても楽しみです。

 

<泉順太郎>

泉君は前回の展示に引き続き、ビデオアートを出展していただきます。
現在、東京芸術大学大学院映像メディア学専攻で藤幡正樹教授の下、映像の制作と研究を行っています。

















彼の作品の特徴は、実写映像をパーツとして使い、
何層にもパーツや風景を重ねながらひとつの映像を作り上げるという点と、
ノスタルジックな趣のパーツを多様するという点が挙げられます。
そのような方法を用いてより美しく、しかしながらどこか錆びついたような世界をみせてくれます。

彼の作品は一つの絵画を見ているかのようであり、時間を忘れ没頭して見てしまう魅力があります。
「night fell」というテーマに合わせ、3つの夜景を作り出してくれます。
今回の展示に出品してくれる作品も、映像というよりもより絵画に近いものになる予定だそうです!
ぜひ、ご覧になる際にはゆったりとリラックスしながらご覧になってくださいね。

 

<小松杏里>

小松杏里さんは、自分の身体感覚、生命観に基づくドローイングを制作しています。
FLOR発行のZINEにも作品を出してくださいました。





















先の細いサインペンで、独特の曲線や点で描かれるのは、
彼女の中に根付いている生命の形です。
言葉にすることのできない、生命という得体のしれないものを、彼女は、増殖していく点や線で表現しています。
一貫して「生命」に対する自分の観念に基づき、多様なモチーフを一枚の紙の上に書き付けていきます。
今回は、「夜」をテーマにした新作を発表してくださいます。


<野尻芽久美>

野尻さんには、展示会場にてクッキーの販売をしていただきます!



 

彼女が作り出すお菓子はとってもかわいいおもちゃのよう。
彼女は、お菓子を作るにあたり、

「おもちゃ箱にしまいたくなるようなお菓子たち
小さいころ大事に大事にしまっていた、人形や車に絵本。
その代わりになるような 、食べれるけれども、甘いけれども、心をわくわくさせてくれる。
そんなお菓子たちをつくっています。」

といっています。

見てわくわく、食べて幸せ。
そんな素敵な野尻芽久美ワールドを堪能してください:)
誰かにプレゼントするのにもおすすめです。



<濱口拡美>

1989 東京生まれ。
2011 東京藝術大学美術学部先端芸術表現科 卒業。
個人として作家活動をする傍ら、
海と宇宙にロマンを抱く月面歩行部の部員でもあり、
浜辺の調査・科学絵本の制作も行なっています。






濱口さんの作品は

「既にある景色の映像・写真を利用しつつ、その風景の背景にあるであろう物語を提示する。」

という手法によって作り出されていきます。
彼女は、一つの作品を作り出す過程も重視しています。
ZINE「FLORvol.0」に寄せてくれた本は、その過程にあたる物語でした。
今回は「night fell」をテーマに家型のインスタレーションとともに、
ドローイングの展示を予定しています。
今回の作品にはどんな物語が紡ぎだされていくのでしょうか。

また、海、鼓動、点、線、輪郭 などに興味を持って活動している彼女。
ここ最近は、布や糸にも興味をもっており、今回の作品にも、点や線、輪郭に、布や糸の質感、風合いが反映されているのではないでしょうか。


以上の5名が出展してくださいます!

また、会場には、前回の展示、ZINEに参加してくださった”るびゑ”さんの卒業制作「never flat」を無料で配布しております!




るびゑさんの作品につきましては、前々回のブログをご参照ください。
るびゑさんファンには必見の作品になっているかと思います!
こちらも是非会場でご覧ください。


どの作家の皆様の作品も力作揃いです。
作品の良さというのは、なかなか言葉や写真だけでは伝わりにくいものです。
ぜひ、実物をご覧になって、アートが作り出す空間に身を委ねてみてください!

ご高覧賜りますよう何卒よろしくお願いいたします。

2012年3月30日金曜日

夜明けに向かって (展示のお知らせ)



今回は4月に行うグループ展について書いていきたいと思います。
















まずはグループ展「night fell」の詳細です。
-----
グループ展「night fell」 (produced by FLOR)
場所;下北沢ギャラリー Shimokita Art Space Cスペース(http://www.shimokita-art.com/)
会期;4月17日(火)-4月22日(日)
OPEN;12:00-20:00
参加作家;渥見芽以、泉順太郎、小松杏里、野尻芽久美、濱口拡美 and FLOR
-----
ゆったりとした空間になる予定です。
どうぞアートに身を委ねにきてください。
展示のテーマは「night fell」。
これは「夜の帳が下りた」という意味。
みなさんは、「夜」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべるでしょう。
今回の展示のサブテーマは「生きている ただそれだけで さみしい夜」。
1人の夜の孤独感や寂しさにフォーカスしていきます。
作家たちがそれぞれに思うそんな一人の夜を様々なメディアで魅せてくれます。

私自身が今回の展示に際して思うこと、
そして、前回の展示から今回の展示にかけて考えたことを、少し言葉にしてみようと思います。
この展示を企画したちょっとしたきっかけを2つお話します。
ちょっと長くなります。ご了承ください。
‐‐‐‐‐
夜とは、誰もが持つ特別な時間です。
当然のごとく毎日やってきて、私たちはいろんな方法でその時間をやりすごして、朝を迎えます。
夜にはおそらく2つの種類があります。
ひとつは、誰かと過ごす楽しい夜。
(もしかしたら気後れしたり、時々気疲れしたり、たまに失敗したり。。。)
もうひとつは、ひとりぼっちの夜。
それは、孤独を思う夜。時に、寂しい夜。
そのどちらも多くの人が経験してきた夜です。
そして、誰もがそんな夜に育てられてきたし、これからもそうでしょう。

夜の楽しさは誰かと分かち合うことができます。
経験として、誰かと夜を分かち合うことはできます。
しかし、ひとりぼっちの夜、
それは、決して誰かと分かち合うことのできぬ夜です。
夜、わけもなく、孤独の淵に立たされたとき。
誰も自分の孤独をわかってくれないのではないかと、思ってしまったり。
自分独りだけが世界にポツンと取り残されたような気分。
寂しい夜、
孤独な夜、
その重さは、一人で持って歩くには重すぎるときもあります。
たまには誰かに寄り添ってもらいたいときもあります。
誰にだってそんな孤独や寂しさがあります。

分かち合うことはできないかもしれないけど、
誰かの思う寂しい夜に触れ、
共感したり、
あぁ、こんな孤独もあるのかと、
知ることはできると、私は思います。
それは、あなたの心をほんの少し明るくしたり、ほんの少し軽くしてくれるかもしれません。
作家さんたちが表現する孤独な寂しい夜たちは、
きっと、あなたが思う夜にあなたが思うのとは違う意味を与えてくれるかもしれません。
私は、アートというものが、あるいは、その経験が、
そうやって誰かの心にそっと寄り添ってくれればいいな、と思います。
それが、この企画のひとつの始まりです。
もうひとつの始まりについて。
これは、私自身が、夜について考えたことです。
はじまりのはじまりといってもいいかもしれません。
もうどうしようもないこと、
他愛のない日々の記憶、
色あせた思い出、
もう会わないかもしれない人のこと、
漠然とした将来のこと、
あやふやな不安、
日常の些細なこと。
私たちは、日々、頭には浮かんでは消えていくことをもてあそびながら生きています。 
1人の夜には、昼間はやり過ごせていたようなどうでもいいことが頭をぐるぐるして、
大なり小なり、感情の波の中で、記憶と思考の渦にのまれていきます。
後になって思えば、前回の展示を企画した時の私は、
ものすごく、感情と記憶と思考にがんじがらめにされていたように思えます。
今回の展示を企画するまでの間に、いくつもの寂しくて孤独な夜を過ごしてきました。
夜、ふとした瞬間にやってくる、ぐるんぐるんとまわる記憶と思考にふりまわされては、
感情の起伏に辟易していました。
でも、そんな中でも、いくつもの発見や気づきを得たり、いくつかの覚悟を決めたりしてきました。
いくつも過ごしてきた夜の中で、
少しずつ前に向かって歩く準備をしてきたのだなぁ、と、今は思います。
私たちは、すぐに記憶に縛られたり、
一時の感情に流されたり、 
どうでもいいような些細なことばかりを気にしたり、
そんな風にできているんだろうけど、
そこからちょっと身を離してみて、待ってみる。
そうすると、案外、くだらないことに思い煩っていることがあるものです。
大事なことは、ちゃんと私の目の前に、単純な形であるのです。
孤独という夜にそっと身を沈めるということ。
寂しさが去ってゆくのをじっと待つこと。
今は、ただそれだけが正しい行為のように思えます。
夜という時間は、いつかの夜明けを待つための時間なのだと思います。
今回の展示の「night fell」というテーマは、
前回の展示を企画し始めた時から時間を経て、
私自身の「夜」というものに対する意識の変化をきっかけにしています。
しかし、これは企画するにあたってのきっかけにすぎません。
そして私自身の考えにすぎません。
作家さんたちがどんなふうに夜をとらえているのか、
企画した私も楽しみにしています。
------ 
夜のとばりが下りた。
それは、夜明けまでの静かな時間の始まりです。
是非、足をお運びください。

文責 FLOR nari

2012年2月21日火曜日

作家紹介2/ササキユーイチ

こんにちは。
前回のブログに引き続き、作家の紹介をしていきます!
2回目の今回は、ササキユーイチ君を紹介させていただきます。


<ササキユーイチ>
1989 鹿児島県奄美大島生まれ
2009 京都市立銅駝美術工芸高等学校ファッション・アート科卒業
2012 立教大学現代心理学部映像身体学科在籍
トマトとレーズンが好き。



彼の作品に共通して見られるのは、
「再構築」
というワードでしょう。

世界に存在している雑然とした物事を、一度破壊する。
そこから生まれる要素を新たな感覚を持って構築する。
彼は、意識的に、時に無意識的にそういった手法を用いています。

作品からは、彼が持つ独特の感性以上に、"感覚"や"身体"というものへの繊細さを感じずにはいられません。

グループ展「青の記憶」の際にはある一つの装置を提示しました。












































































鑑賞者はドア穴を覗くような感覚で、
ゆらゆらとうごめく青い世界を見ます。
さらに、
そっと耳をすますと、
軋みのような不安定な音が聞こえます。




















彼は、この作品に対し、
以下のようなテキストを寄せてくれました。


これは彼女の_ではない、
これは私の_ではない、
ましてや、
これは彼の_ではない。


(中略)

わたしはわたしの「海」を見つめてみることにした。
今年の一月海辺にある病院に祖父を見舞った。
その帰り道に海を撮った。「Kyô-zô」という作品にした。
「/u/míː/」は、「Kyô-zô」を100/1倍速で再生する、嘗てそこにあった風景をもう一度再生するための機械だ。
嘗て一度も視たことがない風景を思い出すための機械だ。
祖父は言葉なく眠っている。




記憶というものと感覚のつながり、
過去と現在の倒錯が私の身体を通じて起こっているという感覚は、なんとなく懐かしくも不可思議さを感じます。

ジンに寄せてくれた作品は、
身体の写真をコラージュし、アルファベットを作り出したもの!
というと、グロテスクに思えますが、実物はちょっとフェミニン。
ジン制作に際しましてコメントを寄せてくれました。

十代頃、ファッション紙の女性の肢体を切り抜いては抽斗に仕舞っておくのが密かな愉しみでした。
今回は古い抽斗を久し振りにあけてみました。

とのことです。
誰かの記憶をそっと覗く行為には、背徳感と蜜の味が一緒について回り、
それはドキドキという鼓動にかわることでしょう。
彼の秘密の抽斗を開けてみてください!
彼が持つ感覚の一端に触れられるものになっていると思います!
ぜひ、お手にとってご覧ください~


FLOR HP : http://tm-flor.com/

2012年2月13日月曜日

おひさしぶりです。

2012年です!

今年初のブログ更新です。
本年もよろしくお願いします!

最近のFLORはジンの販売作業に追われています。
また、新たな展示企画を進行中です。
こちらはまた改めてお知らせいたしますのでお楽しみに!

さてさて、
ジン「FLOR vol.0」ですが、
なかなかいい感じに仕上がりました!

5人の作家の作品が一つの袋に入っていて、ちょっとした展覧会みたいです。
飾ったり、読んだり、使ったり。
いろいろな楽しみを詰め込んでみました。

今回と次回のブログは、
ジンと昨年行ったグループ展「青の記憶」に参加してくれた2人の作家を紹介したいと思います。

1人はるびゑさん。
かわいいながらどこか毒気のある女の子です。
もう一人はササキユーイチ君。
爽やか風の青年です。

では、1回目の今回はるびゑさんについて書きたいと思います。

<プロフィール>

1990年生まれ。
千葉県在住。
11歳のとき同人誌即売会に連れられて以降、おたくに。
中高時代は、同人誌収集、制作、コスプレ制作等で過ごす。
多摩美術大学造形表現学部映像演劇学科、在学。
現在は自主制作漫画を学内で配布、
また、イラスト・絵画を制作し発表している。


るびゑさんが描く物憂げな顔をした少女たち。
彼女たちはただ単にかわいいと形容することを拒むような強さを持っています。










































ベニヤ板に色鉛筆やクレヨンで描かれている彼女たちは、優しさの中に棘や悲しみを内包しているように思えます。

青の記憶の際にるびゑさんは以下のようなテキストを寄せてくれました。


3.11以降、初めて構想したキャラクターは5人の少女であった。
彼女たちは、わたしが受けた驚きや悲しみ、
ある種の歓びをも、
否応なしに孕まされている。
今作で描かれているのは、
彼女たちの1シーンにも満たない、
ほんの一瞬の場面である。
彼女たちのワンフレーム後のすべては、
木目に委ねられている。



この少女たちは可愛がられたい欲求をもっているようにも、あるいはそうされるのを拒んでいるようにも見え、とてもアンビバレントな状態に感じられます。
それは現代社会のある局面、ある一部分を潜在的に孕んでいるためでしょう。

ジン発行に際して、
るびゑさんが書き下ろしてくれた少女は、
るびゑさんの中のなにをもってうまれてきたのでしょうか。
ぜひ、ジンをてにとってご覧ください!

ジン販売に関しましては、HPをご覧ください。

HP:http://www. tm-flor.com/

または、
こちらのアドレスにお問い合わせください!
floating.light.or.right@gmail.com

順次販売を拡大して行く予定です。
こちらのブログや、ホームページ、Twitterにてお知らせいたします。
よろしくお願いします(o^^o)

次回は"ササキユーイチ"君について書きます。

ではでは。

2011年11月21日月曜日

青の記憶レポート3

本日は、ちょういと急いで更新。
ので、1作品だけ紹介いたします~。

ギャラリーのドアを開けて正面には今回のDMやポスターに使った写真とステイトメントを貼らせてもらいました。

 
















同じ壁にこちらの作品を飾りました。



















田邊彩さんの「堕」です。

田邊彩

<人>
1992年3月30日誕生。
立教大学現代心理学部映像身体学科在学。
激しい色めきと煌めきを見せつけることができれば…と描く日々。
細々と展示手伝いや参加をし続けている。


<作品>
今回の作品では、愚直に、
テーマ通りの青と少女、
そして煌めきと不安を描いた。


















彼女の作品に一貫するテーマは「煌めき」です。
今回の展示に出品してくれた作品は、
絵の中の物語性に煌めきを封じ込めるとともに、
少女の中にまとわりつく水泡の煌めきをラインストーンによって表現しています。
ラインストーンを用いることによって一瞬の輝きを見ることができます。
深く、深い青の中に堕ちていく少女は、
美しさの反面、
それと同じくらいの不気味さというか怖さをもっているような作品になっているように思います。

「青の記憶」では、
展示の目的のほかに、
展示全体のイメージとしてのステイトメントを各作家に提示し、
作品を作ってもらいました。
今回は、そのステイトメントを載せたいと思います。


「青の記憶」
青だった。
見わたすかぎり青だった。
その海は、あまりに青かった。
それは完璧に近い青。
それは美しすぎてこわい青。
浜辺の少女は美しい。
彼女は誰?
彼女はどこへゆくのだろう。
彼女が生まれたのは小さな港町。
強く 冷たい潮風吹く町。
 船の汽笛がよく響 く。
少女の素足。
砂の粒がまとわりつく。
寄せては返す波が
彼女の足跡を消す。
波がさらった
彼女の宝箱。
彼女の思い出。
彼女はどこからきたの?
彼女は誰?
彼女は海へゆく。
遠くの青きら。
波にまじる気泡。
少女の後ろ姿。
消えそう。
あの日、海は青かった。
耳障りな波の音も、
ときには心地よくて、
孤独みたいだ。
水平線のずっと向こう
昇る朝日は命に似て。
はじまる。

2011年11月14日月曜日

青の記憶・展示レポート2

前回のブログに引き続き、
青の記憶の展示レポートをしていきたいと思います。
搬入風景の1枚。



















今回も2人の方の作品を紹介します。
まずは、小松杏里さんの作品です。

「海/生命」


























小松杏里

<>
1987年生まれ、茨城県出身。
2010年、立教大学現代心理学部映像身体学科を卒業。
在学中、勅使川原三郎のワークショップを機に
身体表現への興味を持ち、ダンスを始める。
現在、立教大学現代心理学研究科映像身体学専攻修士2年生。

<作品コンセプト>
今あるこの身体が経てきたものを考える。
それは個人としての身体から人類としての身体へと繋がる。
私の身体は海を漂う、
輪郭を持たない、
無数の生命の集合体。


















杏里さんの作品は、
とても細かい点や線の集合によって構成されています。
それは、彼女の生命観の表れとしてみることができます。
この点や線の集合は、
私たちの身体というものへの疑問を投げかけています。

私の体はいったいどからが私の体ということができるのでしょう。
この体は無数の細胞からできていて、
外の世界と私たちの体というものの境界は案外あいまいなものです。

今回の展示での彼女の作品は、
そういった身体観、あるいは、原初的な生命というものに対する思考が、
母なるものとしての海と結びついて作られたもののように感じられます。



もう一つ作品を紹介します。
消しゴムハンコ作家の川野明日美さんの作品です。
題名は「すべて青からもらった」です。

今回、川野さんは、
ポストカードサイズの作品4枚と、
4つの顔を組み合わせて作られた作品の計5つの作品を出品してくださいました。




















<>
オリジナル消しゴムはんこ作家。
「めごはんこ」の屋号で活動。
主にオーダー受注と、てづくり市などへの出店。
へんかわいい動物モチーフが多い。(?)
Twitter;@ashitautsukushi
BLOG;http://blog.goo.ne.jp/mego-hanko/

<作品>
あの青からもらった日々、おもいで、この体。
遠く離れても、少女たちは青を宿して生きている。
わたしの中のあの青は、今どんな色をしているだろうか。



一番手前に見えるのが「猫かぶりちゃん」というキャラクターで、
めごはんこ一押しのキャラクターです。
彼女の作る消しゴムハンコは、
ただかわいいだけじゃなくて、
ファニーであったり、クールであったりといった魅力をかね備えています。

普段は、
商業用に消しゴムハンコを制作、販売しているのですが、
今回の展示にむけて、
商業用のハンコとは別の、表現という次元に挑戦してきました。
彼女初のアート作品です。

4つの顔が組み合わされて作られている作品は、
彼女自身が気持ちの整理がつかない、
ぐちゃぐちゃした状態のときの自分の表情をモチーフにしています。
この4枚の絵において、インクの色がグラデーションしていくこと、
あるいは、作品の中において自分自身の中に透明感が増していくことによって、
彼女のそういったどうしようもない、やり場のない感情が浄化されていっているように感じます。

どの作品においても、
彼女の消しゴムハンコはとても丁寧に作られています。
そして、それを作品として、紙に押すという段階においても、
ひとつひとつ大切に作業が行われていることがわかります。
また、
作品のモチーフだけではなくて、
インクの色の組み合わせや、キャラクターを押す位置など、
彼女独特の間合いや空気感を感じることができます。


彼女のハンコは買うことができますので気になる方はチェックしてみてください!!


展示レポートはまだまだ続く予定です。
また見てください。


2011年11月8日火曜日

青の記憶

2011.10.14(fri)-16(sun) @ upstairs gallery

人間は忘れる生き物だ。
日常生活や日々の出来事に追われ、過去のことはどんどん忘れていく。
というよりも、思い出すことがなくなっていくのだと思う。
それが、ふとした瞬間に、あの日のことを思い出す。
ふとしたときに、「あぁ、友達と花火を見たあの港は、もうないんだなあ。」と。 
2011.311
私たちの生活はどこか確実にあの日を境に変わった。
あの日をなかったことにはできない。
ならば、互いに、伝え合い、語り合い、手を取り合おう。
そうして、何かがほんの少し前向きになれたらいいな、と思う。
 
展覧会「青の記憶」は、
「海」と「青」というテーマのもと、
訪れて下さったみなさんが、
あの日のことや、
私を育ててくれた町や土地のことを、
ふと思い出してくれるようにという願いから始まった企画です。
当日は、多くの方に訪れていただき嬉しいかぎりです!!
また、
今回、企画者の私を含め8人の作家が作品を出展してくれました。
当日も、作家の皆様には本当にお世話になりました。

来て下さった方、
作家の皆様、
本当にありがとうございました。

このブログで、ちょこちょこと、
当日の様子や作品の写真を載せていきたいと思います。

こちらがお世話になったギャラリーです。
代官山キルフェボンの近く、1階はミスターフレンドリーカフェになっています。




今回は2つの映像作品についてご紹介します。
映像コーナーは最終的にはこんな感じになりました。


















画面左側に見えますのが、
安田瑛己の「夏休みは終わらない」 、
画面右側のテントのような小部屋の中では、
泉順太郎の「渚を待つ」、
が上映されておりました。



















安田瑛己
<>
1987年東京生まれ、東京都在住。
早稲田大学第一文学部在籍。
大学では、映画サークルに所属し、
積極的に自主映画を制作。
また、フリーランスの映像制作者としても活動している。
2009年には監督作が学生残酷映画祭にて入選を果たす。
好きな映画監督はタランティーノ、ラースフォントリアー。
<作品>
ミナミちゃんは、夏休みを終わらせたくなくて、
海にやってきました。
海は濁ってて汚かった。
それでもミナミちゃんは嬉しかったのです。

安田さんの作品は、
眼帯をつけたかわいい女の子が海に向かう姿が、
彼女を執拗においかけるカメラワークによって描かれています。
ただ彼女にだけ焦点が当てられ、
彼女以外はすべてがピンボケの世界は、
どこか不気味さを感じさせます。
また、
生身の人間の呼吸を感じない無機質さをもちながらも、
どこかとてもエロチック。

彼女を追いかける瞳は一体誰のものなのでしょう。

次は泉君の作品です。

















 布が張られた中には、
椅子がおいてあり、その中に入って作品を見ます。



















彼の作品は、丁寧に作りこまれたアニメーションによって構成されています。
この布で囲まれた空間では、
渚の1日の時間が流れていきます。
月が沈み、朝日がのぼり、日が沈み、月が浮かぶ。
彼がめざすのは、破たんを含みながらも営みを続ける美しい世界です。
アニメーションには全体として歯車の回転がモチーフとして扱われており、
それは、まるで輪廻転生を思わせます。
私は、彼の作るアニメーションの美しさにいつも心奪われてしまいます。
また、新作ができたら順次公開していけたらなと思っています!!

今回は、映像2作品について紹介させていただきました。
まだまだ続きます!

それではまた。